意外なところで無料で映画を楽しめてしまった思い出

試写会を当てずとも無料で映画を楽しめてしまうことがある。もちろん先方は無料の映画サービスのつもりではないし、途中雑音も入るし足も疲れるけれど、ともすると映画館で観るより味わい深い。「なあんだ」とずっこけてしまう人もいるかもしれないが、それは、DVDショップでの最新作の宣伝を兼ねてのモニターテレビでのフル再生。何が楽しいって、その時同じように画面にくぎづけになっている見知らぬお客たちとの無言の共有だ。少し前、新宿のDVDショップで三池崇史監督の『十三人の刺客』が流れていた。それは夕方くらいだったと思うのだが、仕事帰りのちょっとヨレたスーツの男性達が数人、微妙な空間を互いの間に保ちながら、一心に画面を観ていた。疲れているだろうに、ずっと立ちっぱなしで。少し離れたところでは、他のDVDを手に取りながらも、ちらちらとこちらを観る男子高校生も。そんな男ばかりの空間の中に独り女性の私が混じって一緒になって立ちっぱなしで楽しんだのだが、何かあたたかい空気がそこにはあった。それからこれはかなり前、『タイタニック』のDVD(いや当時はまだビデオだったか!)が出たばかりの頃、近所のローカルな家電ショップの一角でそれが流れていて、前では子連れのお父さんや若いカップルが椅子に座って(!)一心に観ていたのが忘れられない。ちょっと立ち寄ってみたところで無料であたたかい映画体験ができてしまった、特別な思い出だ。